コラーゲンの合成と分解を理解する!
コラーゲンについては最近の研究で飲んだ時に体でどのように働くのが明らかになりましたが、古い情報もまだたくさん残っていて、どれが正解なのか良くわからないと感じる方も多いと思います。
そこで、コラーゲンを経口摂取した時に体内でどうやって分解・吸収・合成がされるのかについて最新の情報にもとずいて整理しました。
コラーゲンの体内での分解・合成について詳しく知れば、経口摂取したコラーゲンサプリなどの効果もより効率よく発揮できるようになりますよ!
コラーゲンの分解・吸収過程
サプリメントなどで摂取したコラーゲンは、そのまま直接お肌に届くということはありません。
体内で分解され、再合成されています。
その仕組みを詳しく見てみましょう。
分解
経口摂取したコラーゲンは、胃まで届くと分解が開始されます。
“ペプシン”というたんぱく質分解酵素によってコラーゲンは消化されていきます。
胃で細かく切断されたコラーゲンはコラーゲンペプチドになり、小腸に入るとさらに別の酵素で分解されて、最後はアミノ酸となります。
そのアミノ酸は小腸で吸収されて、各部位へ運ばれることになります。
↓
コラーゲンペプチド
↓
アミノ酸
コラーゲンペプチドは分解されない
コラーゲンペプチドは小腸でアミノ酸に分解されると書きましたが、全てがアミノ酸になるわけではありません。
最近の研究では、経口摂取したコラーゲンペプチドの約半分は分解されずにそのまま吸収されることが分かっています。
これには、コラーゲンだけに含まれるヒドロキシプロリンというアミノ酸が関わっています。
ヒドロキシプロリンは、他のアミノ酸(プロリン、グリシン)と繋がった部分がねじ曲がっているために、たんぱく質分解酵素で切断されにくいのです。
吸収されたコラーゲンペプチドは、そのまま血管をとおり全身に行き渡ります。
コラーゲンペプチドの働き
コラーゲンペプチドは、皮膚であれば線維芽細胞に働きかけて、コラーゲンの合成を活発にさせる働きがあります。
コラーゲンペプチドの存在を線維芽細胞が認識すると、皮膚のコラーゲンが分解されたと勘違いして、線維芽細胞が増殖し、コラーゲンを作り始めるのです。
このとき、コラーゲンペプチドがそのままお肌のコラーゲンになるわけではありません。
コラーゲンペプチドは、線維芽細胞に働きかけるだけで役割を終えます。
コラーゲンの合成過程
コラーゲンの合成は、あくまでアミノ酸から行われます。
コラーゲンの合成
コラーゲンが分解されてできたアミノ酸の一部は、コラーゲンとして合成されるときの材料になります。
ただ全てがコラーゲンに再合成させるかというとそういう訳ではなく、様々なたんぱく質合成のための材料になります。
逆に、食事から摂取したアミノ酸もコラーゲンの材料になります。
コラーゲン合成に必要な成分
コラーゲンが体に吸収されてお肌の一部として合成されるのには、コラーゲン以外の成分も関わってきます。
コラーゲンのサプリメントやドリンクに含まれる成分を大きく分けると下記のように分類できます。
体を作る素材になる成分
・アミノ酸
・ヒアルロン酸
・エラスチン
・プロテオグリカン
などが挙げられます。これらはいずれも細胞間マトリックスと呼ばれる、細胞と細胞の間の部分に存在する物質です。
コラーゲンの吸収を促進する成分
・オルニチン
コラーゲンの合成の補助になるもの
・ビタミンC
・鉄
コラーゲンを作る繊維芽細胞を増殖・活性化する成分
・コラーゲンペプチド
・プラセンタ
・燕の巣
・ハス胚芽エキス
・プロテオグリカン
コラーゲンの劣化を防ぐ成分
・ポリフェノール
・ビタミン・ミネラル類
これをまとめると下図のようなイメージになります。
注意)
・それぞれの成分の代表的な作用を書きましたが、実際には各成分は様々な複合的な働きがあります
・サプリメントは食品ですので、特定の悩みを治療するような効果は有りません。
・各成分の体内での吸収や合成の役割についてはまだまだ研究過程であり確定したものではありません。
体のコンディションも大切
コラーゲンを効率よく分解・吸収・合成させるには、体調もとても大切になります。
分解する胃や吸収する小腸が元気でなければ、うまく再合成まで進むことはできませんよね。
しっかりと胃で分解し、小腸で出来るだけ多くのアミノ酸が吸収出来るように体のコンディションも整えておきましょう。
そのためには毎日の規則正しい食生活が大切になってきます。
極端にコラーゲンの多いものなどを食べたところで、体調が悪くなってしまうだけです。
せっかく摂取したコラーゲンを最大限に生かすためにも、必要な栄養素を理解して正しい食生活を送りましょう!
【はみ出し情報】
コラーゲンを分解する酵素は三刀流
コラーゲンを分解する酵素もちゃんと有り、その名はコラゲネーゼといい、体内で働く体内酵素の一種です。
この酵素は消化器官で分泌される消化酵素には含まれていません。
なぜなら、コラゲネーゼが消化酵素に含まれていたら胃や腸のコラーゲンが切断されてバラバラになってしまうからです。
コラゲネーゼはおたまじゃくしの尾っぽが短くなってカエルになる研究で発見されました。出産後の子宮などでも働いているそうです。
コラゲネーゼはヒドロキシプロリンのねじ曲がった結合を3ヶ所同時に切断する凄腕の酵素です。
(凄腕といっても、何でもぶった切るわけではありません。コラゲネーゼはコラーゲンしか分解できません)